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労働契約と労働条件を正しく理解する【2025年最新版】

企業の人事労務担当者にとって、適正な労働契約の締結と労働条件の明示は、法令順守だけでなく、従業員との信頼関係を構築する上でも不可欠です。本記事では、労働契約の基本、労働条件通知書の重要性、就業規則との関係、最新の法改正などについて解説します。

1. 労働契約とは?

労働契約は、企業(使用者)と従業員(労働者)の間で結ばれる雇用に関する約束事です。労働基準法第13条により、法令に反する労働契約の内容は無効となり、法令の基準が適用されます。

 

1-1. 労働契約の種類

労働契約には、大きく分けて以下の2種類があります。

  • 無期労働契約:期間の定めがない雇用契約(いわゆる正社員など)。
  • 有期労働契約:一定期間の雇用契約(契約社員、パート・アルバイトなど)。有期契約が通算5年を超えた場合、労働者の申し出により無期契約に転換できる(労働契約法第18条)。

2. 労働条件通知書の重要性

労働基準法第15条では、企業が労働契約を締結する際、従業員に対し、労働条件を明示する義務があると定められています。

 

2-1. 労働条件通知書の記載事項(必須項目)

労働条件通知書には、以下の項目を明示する必要があります。

  1. 労働契約の期間(無期か有期か)
  2. 就業場所および業務内容(将来的な異動先も含む)
  3. 始業・終業時刻、休憩時間、所定労働時間を超える労働の有無
  4. 賃金の決定方法・計算方法・支払日
  5. 休日・休暇
  6. 退職に関する事項(解雇事由を含む)

(パート・アルバイトの場合、以下の追加事項も明示が必要)

  • 昇給の有無
  • 賞与の有無
  • 退職金の有無
  • 相談窓口

2-2. 電子化の活用

労働条件通知書は、書面のほか、電子メールやクラウドサービスを利用して交付することも可能です(従業員が希望する場合に限る)。電子化により、紛失リスクを減らし、効率的な労務管理が可能になります。

 

3. 就業規則との関係

労働契約とともに重要なのが就業規則です。労働基準法第89条により、常時10人以上の労働者を使用する企業は就業規則を作成し、労働基準監督署へ届け出る義務があります。

就業規則に必ず記載すべき事項

  1. 労働時間、休憩時間、休日・休暇
  2. 賃金(昇給・賞与・手当含む)
  3. 退職・解雇に関する規定

就業規則は、従業員がいつでも閲覧できるようにし、最新の労働法規に適合した内容に定期的に見直すことが大切です。

 

4. 労働条件の適正な管理と最新の法改正

4-1. 残業代の適正支払い

時間外労働に関するルールも重要です。2024年4月から、建設業・自動車運転業務・医師の労働時間規制が強化されます。特に**時間外労働の上限規制(年720時間、1か月100時間未満、2~6か月平均80時間以内)**は厳格に運用されるため、労働時間管理を徹底しましょう。

4-2. 副業・兼業の労働時間管理

副業・兼業の労働時間は通算管理が必要とされています。従業員が他社でも働いている場合、企業は労働時間の合計が法定時間(週40時間)を超えないように配慮する必要があります。

4-3. ハラスメント対策の義務化

パワーハラスメント防止措置がすべての企業に義務付けられています。就業規則の見直しや相談窓口の設置が求められます。

 

5. まとめ

労働契約や労働条件を適切に管理することは、法令順守だけでなく、従業員の満足度向上や離職防止にもつながります。

 

✅ チェックリスト(人事担当者向け)

☑ 労働契約を適正に締結しているか?

☑ 労働条件通知書を適切に交付しているか?

☑ 就業規則を最新の法改正に対応させているか?

☑ 労働時間や残業代の管理を徹底しているか?

☑ ハラスメント防止措置を講じているか?

 

法令改正や労務管理の最新情報を常にキャッチし、適切な対応を行いましょう。労働契約や労働条件に関するお困りごとは、つばさ社会保険労務士事務所までお気軽にご相談ください!