企業の労務管理において、残業手当の端数処理は適正な給与計算の重要なポイントです。誤った処理をすると、労働基準法違反のリスクが生じることも。
今回は、厚生労働省が認める適切な端数処理ルールを解説し、実務での注意点も紹介します。
1. 割増賃金の端数処理ルール
厚生労働省の指針によると、以下の端数処理は労働基準法違反とならないとされています。
① 時間数の端数処理
1か月における時間外労働・休日労働・深夜労働の合計時間について、
✔ 30分未満 → 切り捨て
✔ 30分以上 → 1時間に切り上げ
例
- 15時間20分 → 15時間
- 10時間45分 → 11時間
※ただし、従業員に周知せずにこの処理を行うと、従業員の反発を招く可能性がありますので十分ご注意ください。端数処理のルールを事前に明確に伝え、納得を得ることが重要です。
また、原則として労働時間は1分単位で記録しなければならないため、この端数処理はあくまで事務簡便化のための措置として適用する必要があります。
② 時間単価・割増賃金額の端数処理
1時間あたりの賃金・割増賃金額に円未満の端数が発生した場合、
✔ 50銭未満 → 切り捨て
✔ 50銭以上 → 1円に切り上げ
例
- 1,234.49円 → 1,234円
- 1,234.50円 → 1,235円
③ 割増賃金の総額の端数処理
1か月の割増賃金の総額についても、
✔ 50銭未満 → 切り捨て
✔ 50銭以上 → 1円に切り上げ
例
- 45,678.49円 → 45,678円
- 45,678.50円 → 45,679円
2. 企業が注意すべきポイント
(1) 労働者に不利にならない処理を
全て切り捨てるような方法は違法となる可能性があるため、注意が必要です。
(2) 社内ルールを整備
端数処理のルールを就業規則や賃金規程に明記し、従業員への説明責任を果たしましょう。
(3) 給与計算システムの設定を確認
給与ソフトの端数処理設定が適切か定期的にチェックすることが大切です。
沖縄の事業所は小規模事業所が多く、タイムカードを使って勤怠管理を行い、エクセルで給与計算をしている企業もあります。そのため、端数処理の設定を間違えると給与計算全体に影響を及ぼす可能性があります。
手作業での計算ミスを防ぐためにも、ルールを明確にし、適正な方法で処理を行うことが重要です。
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