「それ、指導のつもりがハラスメントかも…?」境界線を正しく知ろう

職場におけるハラスメントは、働く人々の心身に深刻な影響を及ぼし、組織全体の生産性や士気にも悪影響を与える重大な問題です。しかし、日常の業務指導とハラスメントの境界が曖昧で、何がハラスメントに該当するのか悩む方も多いのではないでしょうか。

今回は、ハラスメントの定義や具体例を通じて、その違いを明確にし、適切な職場環境の構築について考えてみましょう。

 

ハラスメントとは?

ハラスメントとは、他者に対して不快感や苦痛を与える言動や行為を指します。職場における主なハラスメントには、以下のものがあります。

  • パワーハラスメント(パワハラ):職場での優越的な立場を背景に、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により、労働者の就業環境を害する行為。例えば、過度な叱責や無視、過大な業務の押し付けなどが該当します。

  • セクシュアルハラスメント(セクハラ):職場での性的な言動により、労働者が不利益を被ったり、就業環境が害される行為。性的な冗談や不必要な身体接触などがこれに当たります。

  • マタニティハラスメント(マタハラ):妊娠・出産・育児休業等に関連する言動により、労働者の就業環境が害される行為。例えば、妊娠を理由に退職を促すことや、育児休業の取得を妨げる言動などです。

これらの行為は、労働者の尊厳を傷つけ、働く意欲を損なうだけでなく、法的にも問題となる可能性があります。

 

業務指導とハラスメントの違い

業務上の指導や注意は、組織の目標達成や従業員の成長のために必要不可欠です。しかし、その方法や内容が適切でない場合、ハラスメントと受け取られることがあります。では、どのように区別すれば良いのでしょうか。

 

✅適切な業務指導のポイント

  1. 目的の明確化:指導の目的が業務改善や従業員の成長であることを明示する。

  2. 具体的な指摘:問題点を具体的に示し、改善策を提案する。

  3. 尊重と思いやり:相手の人格を尊重し、感情的にならず冷静に伝える。

  4. 双方向のコミュニケーション:相手の意見や感情を聞き、理解しようと努める。

一方、ハラスメントとみなされる行為は、以下の特徴を持つことが多いです。

  • 人格否定:業務に関する指摘ではなく、個人の人格や能力を否定する言動。

  • 過度な叱責や無視:必要以上に大声で叱責したり、意図的に無視する行為。

  • 不適切な業務の割り当て:能力や役割を無視した過大または過小な業務を与える。

  • 私的な領域への干渉:業務に関係のない個人的な情報に踏み込む。

これらの行為は、業務指導の範囲を超えており、ハラスメントとして問題視されます。

 

ハラスメントを正しく理解するためのおすすめ動画

厚生労働省の公式サイトでは、ハラスメントの定義や具体例を分かりやすく解説した動画が公開されています。この動画は非常に分かりやすく、ハラスメントについて正しく理解するのに役立ちます。

 

あかるい職場応援団 動画で学ぶハラスメント

 

特に、実際の職場で起こりうるケースを具体的に紹介しながら、「どこまでが指導で、どこからがハラスメントなのか」を明確に説明している点が素晴らしいです。ハラスメントについての認識を深め、適切な職場環境づくりに役立てるためにも、ぜひご覧ください。

 

相談窓口の設置支援も行っています

当事務所では、ハラスメント対策の一環として、職場の相談窓口の代行も行っております。企業内で適切な相談体制を整えたいとお考えの方は、ぜひご相談ください。

 

 

まとめ

ハラスメントと適切な業務指導の違いを理解し、日常のコミュニケーションにおいて注意を払うことは、健全な職場環境の構築に不可欠です。指導を行う際には、相手の立場や感情を尊重し、建設的なフィードバックを心掛けましょう。また、ハラスメントの兆候を感じた場合は、一人で悩まず、信頼できる上司や専門家に相談することをお勧めします。

つばさ社会保険労務士事務所では、職場のハラスメント防止や適切な指導方法に関するご相談を承っております。お気軽にお問い合わせください。


このコラムを書いている人

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玉城 翼(たまき つばさ)

社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士

1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。

2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。

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