
2025年(令和7年)3月分(任意継続被保険者は4月分)から、協会けんぽの都道府県単位保険料率が変更される見込みです。本記事では、その背景や変更点について詳しく解説します。
1. 都道府県単位保険料率とは?
協会けんぽの保険料率は、全国一律ではなく、都道府県ごとに異なります。これは、地域ごとの医療費や年齢構成、所得水準に応じて保険料を設定することで、より公平な負担を実現するための仕組みです。
2. 令和7年度の保険料率の主な変更点
今回の改定では、大分県を除く46都道府県で保険料率が変更される見込みです。主な変更点は以下のとおりです。
保険料率の変動状況
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18都府県で引き下げ、28道県で引き上げ。
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全国平均の保険料率は10.00%を維持。
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全国一律の介護保険料率は1.60%から1.59%に引き下げ。
都道府県ごとの主な変更例
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保険料率が上昇する見込みの都道府県
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青森県:9.49% → 9.85%(+0.36%)
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佐賀県:10.42% → 10.78%(+0.36%)
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徳島県:10.19% → 10.47%(+0.28%)
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保険料率が下降する見込みの都道府県
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東京都:9.98% → 9.91%(-0.07%)
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神奈川県:10.02% → 9.92%(-0.10%)
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大阪府:10.34% → 10.24%(-0.10%)
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沖縄県:9.52% → 9.44%(-0.08%)
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3. 保険料率の変動要因
都道府県ごとの保険料率は、以下の要素に基づいて決定されます。
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年齢調整:高齢者の割合が高い地域ほど医療費が多くなるため、保険料率が上昇する傾向があります。
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所得調整:所得水準の低い地域では、同じ医療費を負担するために保険料率が高くなります。
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インセンティブ制度:特定健診の受診率向上やジェネリック医薬品の利用促進など、健康管理の取組みによって、一部の都道府県で保険料が減額されることがあります。
4. 事業主・被保険者への影響
保険料率の変更により、事業主と従業員の負担額が変動します。例えば、保険料率が上昇した都道府県では、給与から控除される健康保険料が増加します。逆に、保険料率が低下した地域では、負担が軽減されることになります。
5. 今後の見通し
協会けんぽの保険料率は、今後も医療費の増加や人口動態の変化に応じて調整される可能性があります。企業の人事担当者や個人事業主は、毎年の改定内容を確認し、適切な対応を行うことが重要です。
まとめ
2025年3月から適用が見込まれる新しい保険料率は、地域ごとの医療費や所得水準を反映したものとなっています。従業員の負担額にも影響を及ぼすため、事業主の皆様は早めの準備をおすすめします。
このコラムを書いている人

玉城 翼(たまき つばさ)
社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士
1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。
2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。
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