
ユースエール認定制度とは?
ユースエール認定制度とは、厚生労働省が定める制度で、若者の採用・育成に積極的で、雇用管理の状況が優良な中小企業を「ユースエール認定企業」として認定するものです。これにより、企業の情報発信を後押しし、求職中の若者とのマッチングを促進することが目的とされています。
認定を受けるメリット
1. ハローワークなどでのPR支援
「わかものハローワーク」や「新卒応援ハローワーク」などの支援拠点で積極的にPRされるため、若者からの応募が増える可能性が高まります。また、厚生労働省の「若者雇用促進総合サイト」に認定企業として掲載されるため、企業の魅力を広くアピールできます。
2. 認定企業限定の就職面接会への参加
各都道府県労働局やハローワークが開催する就職面接会に優先的に参加でき、求職者との接点を増やすことが可能になります。これにより、より適した人材を採用するチャンスが増えます。
3. 認定マークの使用
認定企業は、「ユースエール認定マーク」を商品や広告などに使用できます。これにより、対外的に「若者の採用・育成に積極的な優良企業」であることをアピールできます。
4. 日本政策金融公庫による融資制度
「働き方改革推進支援資金」を利用する際、基準利率から -0.65% の優遇措置を受けることができます。これは、中小企業にとって大きなメリットとなります。
5. 公共調達での加点評価
公共調達において、価格以外の要素も評価する調達方式(総合評価落札方式・企画競争方式)では、ユースエール認定企業が加点評価される可能性があります。
認定基準
ユースエール認定を受けるためには、以下の基準を満たす必要があります。
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学卒求人(新卒者など若者対象の正社員求人)を行っていること。
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人材育成方針と教育訓練計画を策定していること。
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直近3事業年度の新卒者の離職率が20%以下であること。
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前事業年度の正社員の月平均所定外労働時間が20時間以下であり、
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月平均の法定時間外労働が60時間以上の正社員が1人もいないこと。
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前事業年度の正社員の有給休暇取得率が70%以上、または年間取得日数が平均10日以上であること。
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直近3事業年度で男性労働者の育児休業取得者が1人以上、または女性労働者の育児休業取得率が75%以上であること。
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青少年雇用情報を公表していること。
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過去3年間に認定取消や認定基準未達での辞退がないこと。
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過去3年間に新卒者の採用内定取消を行っていないこと。
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過去1年間に事業主都合による解雇や退職勧奨を行っていないこと。
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暴力団関係事業主でないこと。
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重大な労働関係法令違反を行っていないこと。
認定を受けるには?
ユースエール認定を受けるためには、各都道府県労働局に申請し、基準を満たしていることが確認された後に認定通知書が交付されます。
申請方法には、
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持参または郵送
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電子申請(e-Govポータルサイト) があり、手続きの利便性も考慮されています。
まとめ
ユースエール認定制度は、若者の採用や育成に積極的な中小企業を支援する制度であり、認定を受けることで企業のイメージアップや人材確保につながる大きなメリットがあります。特に、ハローワークでのPRや融資の優遇措置などは、中小企業にとって魅力的な特典となるでしょう。
もし貴社が認定基準を満たしている、または満たす見込みがある場合は、積極的に申請を検討してみてはいかがでしょうか?
このコラムを書いている人

玉城 翼(たまき つばさ)
社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士
1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。
2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。
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