「会社と話し合いにならない…」そんなとき頼れる“あっせん制度”とは?

労働者と事業主の間で発生するトラブルは、日常的に発生する可能性があります。例えば、

  • 解雇や雇い止め

  • 残業代の未払い

  • パワハラ・セクハラ

  • 労働条件の変更に関する不満

このようなトラブルを迅速かつ円滑に解決するために、厚生労働省が設けているのが「個別労働関係紛争のあっせん制度」です。本記事では、この制度の概要や活用方法について解説します。

 

 

個別労働関係紛争のあっせん制度とは?

個別労働関係紛争のあっせん制度は、労働者と使用者(会社)の間で生じたトラブルを、第三者である「あっせん員」が間に入って調整し、円満な解決を目指す制度です。

 

特徴

  • 無料で利用可能:公的機関が提供するサービスのため、費用負担がありません。

  • 迅速な解決:裁判などと比べて短期間で解決が図られます。

  • 非公開で進行:裁判とは異なり、プライバシーが守られます。

  • 柔軟な解決が可能:双方の合意による解決を目指し、法的拘束力のある判決ではなく、話し合いによる合意が基本です。

どこで申し込める?

個別労働関係紛争のあっせんは、以下の機関で申し込むことができます。

  1. 都道府県労働局(総合労働相談コーナー)

  2. 労働委員会

それぞれの機関では、相談を受けた後、必要に応じてあっせん手続きを開始します。

 

どのように進むのか?

  1. 相談・申請

    • 労働者または事業主が申請を行います。

  2. あっせん員の指名

    • 労働問題に詳しい専門家があっせん員として選ばれます。

  3. あっせんの実施

    • あっせん員が双方の意見を聞き、話し合いを進めます。

  4. 合意または不成立

    • 双方が合意に至れば解決。不成立の場合は、別の手段(裁判、労働審判など)を検討することになります。

どんな場合に利用すべき?

  • 会社と直接話し合っても解決しない

  • 裁判や労働審判をする前に、穏便に解決したい

  • 費用をかけずに解決したい

注意点

  • 強制力はない:あくまで話し合いによる解決を目指す制度であり、双方の合意がなければ成立しません。

  • 事案によっては対象外になることも:例えば、労働基準法違反の是正を求めるものは、労働基準監督署の管轄となります。

まとめ

個別労働関係紛争のあっせん制度は、労働トラブルを迅速かつ円滑に解決するための有効な手段です。特に、「話し合いで解決したい」「裁判は避けたい」と考える場合には、活用を検討する価値があります。

もし労働問題で悩んでいる場合は、一度総合労働相談コーナーに相談してみることをおすすめします。

 

参考リンク

厚生労働省:個別労働関係紛争のあっせん制度