
1. はじめに
沖縄労働局は、2024年10月末時点の外国人雇用状況を発表しました。沖縄県内で働く外国人労働者数は17,239人、外国人を雇用する事業所数は3,284か所となり、いずれも過去最高を更新しました。全国的にも外国人労働者の数は増加傾向にあり、沖縄県でもその影響が顕著に表れています。
本記事では、最新の外国人雇用状況のデータをもとに、外国人労働者の国籍、在留資格、産業別の雇用状況を分析し、今後の課題について考察します。
2. 外国人労働者の増加傾向
2024年10月末時点の外国人労働者数は17,239人で、前年と比べて2,833人(19.7%)増加しました。また、外国人労働者を雇用する事業所数も3,284か所となり、前年比255か所(8.4%)の増加となりました。これは2007年の外国人雇用状況届出制度の導入以来、最も高い水準です。
全国的にも外国人労働者数は増加しており、2024年の全国の外国人労働者数は2,302,587人(前年比12.4%増)と報告されています。
3. 国籍別の外国人労働者
沖縄県における外国人労働者の国籍別割合は以下の通りです。
-
ネパール:4,375人(25.4%)
-
インドネシア:2,952人(17.1%)
-
ベトナム:2,309人(13.4%)
-
フィリピン:1,744人(10.1%)
-
中国(香港・マカオを含む):1,085人(6.3%)
-
ミャンマー:836人(4.8%)
-
韓国:468人(2.7%)
-
スリランカ、ブラジル、タイ、ペルー、その他の国々が合計で約20%
ネパール人労働者が最も多く、特に留学生として滞在しながらアルバイトをしているケースが多いことが特徴です。
4. 在留資格別の外国人労働者
外国人労働者の在留資格別の内訳は以下の通りです。
-
専門的・技術的分野:6,581人(38.2%)
-
資格外活動(留学生など):3,756人(21.8%)
-
技能実習:3,223人(18.7%)
-
身分に基づく在留資格(永住者・日本人の配偶者等):2,826人(16.4%)
-
特定活動:814人(4.7%)
-
不明:39人(0.2%)
「専門的・技術的分野」の在留資格を持つ外国人が最も多く、エンジニアや介護職、企業内転勤者などが含まれます。一方、技能実習生も一定数おり、特に建設業や製造業での活躍が目立ちます。
5. 産業別の外国人労働者
外国人労働者が多く従事している産業は以下の通りです。
-
宿泊業・飲食サービス業:3,933人(22.8%)
-
卸売業・小売業:2,445人(14.2%)
-
建設業:1,952人(11.3%)
-
サービス業(その他):1,850人(10.7%)
-
製造業:1,498人(8.7%)
-
医療・福祉:1,338人(7.8%)
-
教育・学習支援業:1,267人(7.3%)
-
農業・林業:658人(3.8%)
宿泊業・飲食サービス業での雇用が最も多く、観光業が主要産業である沖縄の特徴が表れています。また、建設業や医療・福祉分野でも外国人労働者の活用が進んでいることが分かります。
6. 今後の課題
外国人労働者の増加に伴い、以下のような課題が浮かび上がります。
-
労働環境の整備
-
日本語の習得支援や職場環境の改善が求められます。
-
外国人労働者が働きやすい労働条件を整えることが必要です。
-
-
在留資格の管理と更新支援
-
企業は外国人労働者の在留資格の更新や変更手続きを適切に行う必要があります。
-
特に技能実習生の適正な管理が課題となっています。
-
-
地域社会との共生
-
文化や習慣の違いを理解し、地域との共生を進めることが重要です。
-
日本人労働者との円滑なコミュニケーションを促進するための取り組みが必要です。
-
-
法改正への対応
-
出入国管理法や労働基準法の改正が行われる可能性があり、企業は常に最新の情報を把握し、適切な対応を行う必要があります。
-
7. まとめ
沖縄県における外国人労働者の増加は、県内経済の発展にとって重要な要素となっています。しかし、受け入れ環境の整備や法的対応など、今後の課題も多く残されています。
今後、企業や自治体、地域社会が一体となって、外国人労働者が安心して働ける環境を整備することが求められます。本コラムでは、最新の外国人雇用状況に関する情報を引き続き発信していきますので、ぜひご注目ください。
このコラムを書いている人

玉城 翼(たまき つばさ)
社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士
1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。
2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。
▶コラム: 私が社労士になった理由