企業において、顧客や取引先からのハラスメント、いわゆる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が深刻な問題となっています。日本経済団体連合会(経団連)が2025年1月に発表した「ハラスメント防止対策に関するアンケート調査結果」をもとに、最新のカスハラ対策の現状と課題について解説します。
調査概要
本調査は、2024年8月7日から9月6日にかけて、経団連の企業会員1,621社を対象に実施され、そのうち222社(回答率13.7%)が回答しました。調査では、カスハラ防止対策の実施状況や、企業が直面している課題が明らかになりました。
カスハラ防止対策の現状
調査によると、43.2%の企業が「対策を取りまとめて実施」または「現在、対策を検討中」と回答しました。一方で、27.5%の企業は「対策が必要と認識しているが、特に対応していない」と回答しており、まだ対策が進んでいない企業も一定数存在します。
具体的な取り組み
カスハラ防止のために企業が実施している主な対策は以下の通りです。
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従業員向け相談窓口の設置(73.3%)
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社内向けの対応マニュアル策定(61.7%)
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顧問弁護士や警察との連携(60.0%)
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カスハラ発生時の社内体制の構築(58.3%)
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従業員研修の実施(55.0%)
特に、「相談窓口の設置」や「対応マニュアルの整備」は、多くの企業が積極的に取り組んでいることが分かります。
当事務所でも、カスハラに関する相談窓口の運営や、企業向けの研修を提供しています。 企業が従業員を守るためには、明確な対応方針の策定や実践的な研修が不可欠です。お困りの企業様には、適切な対策の構築をサポートいたします。
企業が苦慮している点
カスハラ対応において、企業が特に苦慮している点としては以下のような点が挙げられました。
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カスハラと一般的なクレームの線引きが難しい
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顧客関係を考慮し、強く指摘しづらい
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判断基準が曖昧で、従業員が適切な対応をとるのが困難
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SNSなどで拡散されるリスクがある
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業界特有の事情により取引停止や刑事告訴の判断が難しい
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カスハラを受けた従業員のメンタルケアが必要
今後、明確な法的基準の整備や、企業間での情報共有が重要になりそうです。
企業や政府への今後の課題
調査結果を踏まえ、企業や政府に求められる対応として以下が挙げられています。
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カスハラの法的基準の明確化と啓発活動の強化
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業界横断的な好事例の共有と研修の強化
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カスタマーハラスメントに対する毅然とした対応の仕組みづくり
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企業内の相談窓口や外部機関との連携の充実
特に、法的な枠組みの整備や、BtoBにおけるカスハラの判断基準の明確化は、今後の重要な課題となるでしょう。
まとめ
今回の調査から、カスタマーハラスメントに対する企業の取り組みが進みつつある一方で、依然として課題が残ることが分かりました。今後、企業は従業員の安全を守るための対策を強化し、政府と連携して実効性のある制度を整備することが求められます。
当事務所では、企業のカスハラ対策をサポートするために、従業員向けの相談窓口運営や、現場で実践できる研修を提供しております。ご関心のある企業様は、ぜひご相談ください。
引き続き、カスハラ防止対策の動向に注目していきましょう!