“給料が上がった実感ありますか?”2024年の平均賃金は過去最高に!

厚生労働省が3月17日に公表した2024年の賃金構造基本統計調査によると、フルタイム労働者の平均賃金が月額33万400円となり、比較可能な1976年以降で最も高い水準を記録しました。さらに、男女間の賃金格差も縮小し、格差指数が過去最小となりました。

 

賃金の伸びと格差の縮小

調査結果によると、

  • 正規雇用者の平均賃金は34万8600円(前年比3.7%増)。

  • フルタイムの非正規雇用者の平均賃金は23万3100円(前年比2.9%増)。

  • 男性の平均賃金は36万3100円(前年比3.5%増)。

  • 女性の平均賃金は27万5300円(前年比4.8%増)。

男性の賃金を100とした場合、女性の賃金は75.8となり、前年より1.0ポイント上昇しました。これは、女性の課長級以上の割合が増えたことや、2022年から義務化された男女の賃金格差の公表制度の効果が出ていると厚労省は分析しています。

 

物価上昇に伴う実質賃金の減少

一方で、物価変動を考慮した実質賃金は前年比0.3%減となり、3年連続のマイナスでした。特に、食品価格の高騰が影響し、生活水準が向上している実感を持てない状況が続いています。

 

企業規模と産業別の傾向

約5万の事業所の回答をもとに昨年6月分の賃金を集計した結果、企業規模別の賃金水準は以下のようになりました。

  • 大企業(1000人以上):36万4500円(前年比5.3%増)

  • 中企業(100~999人):32万3100円(前年比3.8%増)

  • 小企業(10~99人):29万9300円(前年比1.8%増)

企業規模が小さいほど賃金の増加率が低い傾向が見られました。

産業別では、最も高い賃金水準の業種は以下のとおりです。

  1. 電気・ガス・熱供給・水道業:43万7500円

  2. 金融業・保険業:41万600円

  3. 学術研究・専門・技術サービス業:40万1800円

沖縄県における今後の課題と展望

沖縄県では全国平均と比べて賃金水準が低い傾向が続いています。県内のフルタイム労働者の平均賃金は全国の水準を下回ることが多く、特に中小企業の多い沖縄では、企業規模の小ささが賃金上昇の大きな障壁となっています。

観光業やサービス業が中心の沖縄経済では、賃金水準が他産業に比べて低く、正規雇用率の低さも課題となっています。女性の就業率は全国平均を上回るものの、管理職への登用率が低いことも格差の一因です。育児と仕事の両立支援や、賃金格差是正のための施策が求められています。

また、物価の上昇が家計に与える影響も全国と比べて大きいと考えられます。特に、輸送コストがかかる食品や生活必需品の価格が上昇し、実質賃金の低下が生活に直結している現状です。今後は、地元企業の生産性向上や、観光業に依存しない新たな産業の育成が、沖縄の労働市場における重要な課題となるでしょう。