
1. 熱中症対策の義務化とは?
この度、厚生労働省は2025年6月1日から熱中症対策を事業者に義務付けることを決定しました。これにより、沖縄の建設業・運送業・農業・観光業・工場など、屋内外問わず高温多湿な環境で働く労働者を守るための体制が強化されます。新たな規則では、一定の環境下で作業を行う事業者は、熱中症の早期発見や重篤化を防ぐための体制整備、手順の作成、労働者への周知を義務化されます。沖縄の事業者にとって、これは特に重要な法改正です。夏場だけでなく、春や秋でも高温になることが多いため、早めの対応が必要になります。
2. 義務化の対象となる作業
今回の規則改正により、以下の条件に該当する作業は義務化の対象となります。
✅対象となる作業条件
- WBGT(湿球黒球温度)28度以上または気温31度以上の環境下で
- 連続1時間以上または1日4時間以上の作業
沖縄の事業者が注意すべきポイント
✅ 気温31℃は6月~9月だけではない
沖縄では5月や10月でも気温31℃に達することがあり、長期間にわたって対策が必要です。
✅ 湿度が高いとリスクが増大
WBGTは湿度の影響も大きく、沖縄のように湿度が80%以上になる環境では、気温が低くても熱中症のリスクが高まります。
✅ 観光業・屋内施設も対象になる可能性
建設業や農業だけでなく、観光業や工場・倉庫などの屋内作業も要注意。エアコンが効きにくい場所では、こまめな水分補給や休憩が欠かせません。
3. 事業者に義務付けられる対応
新たな規則では、以下の3つの対応が事業者に義務付けられます。
① 早期発見のための体制整備
- 熱中症の症状が疑われる労働者を発見した場合に報告する体制を整備
- 報告先や担当者の明確化(緊急連絡先の指定など)
- バディ制(ペアで作業を行い、異常があれば即報告)や巡回監視を導入
② 重篤化を防ぐための実施手順の作成
- 作業離脱の基準と手順(症状が現れた際の対応)
- 身体冷却の方法(冷却設備や水分補給のルール)
- 医療機関への搬送手順(救急搬送の判断基準、#7119等の活用)
③ 関係労働者への周知
- 熱中症予防教育の実施(適切な休憩・水分補給の重要性)
- 掲示物やリーフレットを用いた情報提供
- 周知方法は口頭でも可能だが、必要に応じて文書化することを推奨
4. 罰則について
今回の義務化に伴い、適切な対応を怠った場合には罰則が科される可能性があります。
具体的な罰則内容は今後明確化される予定ですが、労働基準監督署の調査において、体制整備や手順作成が不十分な場合は是正指導や行政処分の対象になると考えられます。
5. 沖縄の事業者が今すぐ取り組むべきポイント
2025年6月の施行に向けて、事業者は早めに以下の対応を進めることが求められます。
✅ WBGT値を計測するための機器を導入(熱中症指数計など)
✅ 報告体制を整え、緊急連絡先や担当者を決定
✅ 熱中症発生時の実施手順を作成し、関係者に共有
✅ 作業環境を見直し、適切な休憩や水分補給を促す仕組みを整備
✅ 労働者に対する教育や周知活動を実施
6. 施行スケジュール
厚生労働省は、以下のスケジュールで規則改正を進めています。
📅 2025年4月上旬:改正労働安全衛生規則の公布(予定)
📅 2025年6月1日:新ルールの施行開始
施行までの期間が短いため、沖縄の事業者は特に早急な準備が求められます。
7. まとめ
沖縄の高温多湿環境では、熱中症リスクが全国的に見ても非常に高いため、適切な対策を講じないと労働災害の発生リスクが増大します。
2025年6月からの施行に向け、今のうちに必要な準備を進めていきましょう。
👉 沖縄の事業者向け「熱中症対策チェックリスト」を作成し、計画的に進めることが重要です!
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このコラムを書いている人

玉城 翼(たまき つばさ)
社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士
1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。
2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。
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