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【事業主必見】フリーランスにも労災認定?「実態は雇用」と判断されるケースとは

今回は、宮崎県で起きた「フリーランスの配達員に対する労災認定」のニュースをもとに、フリーランスに業務を委託している事業主が気を付けるべきポイントについてお伝えします。

 

ネット通販 フリーランス配達員の配達中のけが 労災と認定(NHKニュース)

 

 

◆フリーランス配達員に“労災認定”された背景

ネット通販大手「アマゾン」から荷物の配送を請け負う会社と業務委託契約を結んでいた宮崎県の49歳男性。フリーランスとして働いていたものの、配達中の事故で負傷し、労災が認定されました。

労災保険の対象は原則「雇用されて働く労働者」ですが、宮崎労働基準監督署は、

  • シフト制での勤務

  • アプリによるルートや荷物の割当

  • ノルマや時間管理の存在

といった実態をもとに、「雇用と変わらない働き方」であると判断したとみられます。

これは全国で2例目とされる、非常に注目度の高い労災認定です。

 

◆事業主が知っておくべき「労働者性」とは?

フリーランス・業務委託=労働者ではない、とは限りません。

ポイントは「契約の形式」ではなく、「働き方の実態」です。

厚生労働省は、以下のような要素があると“労働者性”が認められる可能性があるとしています。

 

チェックポイント 内容
指揮命令関係 業務の手順・内容・時間などに具体的な指示がある
労務提供の代替性 他人に代わって業務ができるか(本人でなければダメと言われていないか)
報酬の性格 成果報酬ではなく、時間給や日給制のような実質的な給与支払い
業務における拘束性 勤務場所・時間が固定されているか、自由に働けるか
 専属性の程度  他社で働ける自由があるかどうか(実質、専属で働かされていないか)

 

 

◆沖縄の事業主が気をつけるべきこと

沖縄でも、人手不足やコストの面からフリーランスや業務委託を活用している事業者は少なくありません。特に配送、観光、飲食、建設業などでは「個人事業主としての契約」が多く見られます。

しかし、「フリーランスだから労災は関係ない」「社会保険も必要ない」と安易に判断してしまうと、後々トラブルに発展するおそれがあります。

もし実態が「労働者」と判断されれば、

  • 遡っての労災保険加入

  • 雇用保険の未加入責任

  • 残業代や解雇トラブル

  • 是正指導や損害賠償請求

など、大きなリスクにつながります。

 

◆厚生労働省も“相談窓口”を設置

厚労省では「実態は雇用だがフリーランス扱いされている」人向けに、全国の労働基準監督署で相談窓口を開設しています。
これは、働く側も声を上げやすくなっているということ。

つまり、事業主が「うちは業務委託だから大丈夫」と思っていても、働く本人や外部の通報で調査が入る可能性もあるのです。

 

◆まとめ:契約ではなく「実態」で判断される時代へ

今回のニュースは、業務委託やフリーランスとの関係でも「実態次第で労働者と見なされる」ことを示す、非常に重要な事例です。

沖縄で事業を行っている皆さまも、次のような点を今一度見直してみましょう:

  • 業務委託契約書は、内容が実態と合っていますか?

  • 指示や拘束が強くなっていませんか?

  • 長時間労働やノルマのような管理をしていませんか?

  • 雇用契約と混同しそうな関係になっていませんか?

 

◆ご相談ください

「うちは大丈夫だろうか?」
「この契約はリスクがあるのか?」
「トラブルを防ぐために見直したい」

 

そのようなお悩みがあれば、どうぞお気軽にご相談ください!