
2025年は、育児・介護・高年齢者雇用・障害者雇用・雇用保険制度の改正など、人事労務に大きな影響を及ぼす改正が相次ぎます。本記事では、改正ポイントを体系的に整理し、実務で必要な対応をわかりやすくご紹介します。
✅ 目次
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育児・介護休業法の改正
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雇用保険関連の改正
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高年齢者雇用の見直し
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障害者雇用の見直し
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教育訓練支援・リスキリング支援
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企業がとるべき実務対応まとめ
1. 育児・介護休業法の改正【2025年4月・10月施行】
主な改正内容
2025年4月1日施行
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所定外労働の制限対象の拡大(小学校就学始期までに引き上げ)
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子の看護休暇の見直し(名称変更+取得事由拡大)
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育児・介護のためのテレワーク導入の努力義務化
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育児休業取得状況の公表義務拡大(300人超企業)
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介護離職防止のための個別周知・意向確認の義務化
2025年10月1日施行
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柔軟な働き方を実現するための措置義務化
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仕事と育児の両立に関する個別意向聴取・配慮の義務化
必要な対応
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育児・介護休業規程の見直し(最低2回の改定が必要)
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労使協定の見直し(除外対象の再設定等)
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テレワークや短時間勤務等の制度設計・導入
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育児休業取得率の集計と公表準備(対象企業)
2. 雇用保険関連の改正【2025年4月・10月施行】
2025年4月1日施行
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自己都合退職者の給付制限の短縮(2ヶ月 → 1ヶ月)
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育児休業給付率の引き上げ
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育児時短就業給付の新設
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高年齢雇用継続給付の給付率引下げ(最大15% → 10%)
2025年10月1日施行
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教育訓練休暇給付金の創設(リスキリング支援)
必要な対応
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給付制度の案内文書・説明会の実施
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就業規則への「教育訓練休暇」の規定追加(任意)
3. 高年齢者雇用の見直し【2025年4月1日施行】
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高年齢雇用継続給付の見直し
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65歳までの雇用確保措置(希望者全員)の完全義務化(経過措置終了)
必要な対応
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定年制度・継続雇用制度の見直し
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評価・賃金制度の整備(高年齢者が働きやすい環境構築)
4. 障害者雇用の見直し【2025年4月1日/2026年7月1日施行】
改正内容
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除外率制度の見直し・一律10%引き下げ(2025年4月)
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法定雇用率の引き上げ(2026年7月)
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「障害者雇用推進者」選任義務の明確化
必要な対応
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採用計画の見直し
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勤務環境整備(業務分担、配慮事項の確認)
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ハローワークへの報告対応準備
5. 教育訓練支援・リスキリング支援【2025年10月施行】
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教育訓練休暇給付金の新設(無給休暇中に基本手当相当額を給付)
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就業規則に新制度を盛り込むかは企業判断ですが、今後の人材戦略において重要な制度です。
6. 実務で押さえるべき対応ポイントまとめ
項目 | 対応例 |
就業規則の改定 | 育児・介護・教育訓練・柔軟な働き方制度の反映 |
労使協定の見直し | 看護休暇・介護休暇の除外要件等 |
社内研修・説明会 | 改正内容の周知・取得制度の活用促進 |
サイト等での公表 | 育児休業取得率の公表(該当企業) |
制度導入の検討 | テレワーク、時短勤務、フレックス等 |
💡 まとめ
2025年の法改正は、人材確保と職場の多様性対応が中心テーマです。制度改正に対応しきれないと、労務トラブルや行政指導のリスクも。特に中小企業こそ、就業規則・社内制度の早期整備が重要です。
🌱 早めの対応で、働きやすく魅力ある職場づくりを!
このコラムを書いている人

玉城 翼(たまき つばさ)
社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士
1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。
2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。
▶コラム: 私が社労士になった理由