~見逃されがちな“介護支援”に事業主が今すぐ取り組むべきこと~
令和7年度の育児・介護休業法の改正といえば、「育児」に関する制度が大きく注目されています。
ですが実は、「介護」に関しても重要な改正があり、事業主が新たに取り組むべき義務がスタートします。
今回は、介護に関して特に押さえておくべき2つのポイントをご紹介します。

1)介護に直面した従業員への「個別周知・意向確認」が義務化!
2025年4月からは、従業員が「家族の介護が必要になった」と申し出た場合に、事業主が行うべき対応が明確に定められました。
✅ 実施が義務となる事項(すべて個別に行う必要があります)
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介護休業制度や両立支援制度の内容の周知
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申出先(例:人事部など)の案内
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介護休業給付金などの経済的支援の情報提供
さらに、「制度を利用したいかどうか」の意向確認も必須。
このとき、利用を控えるような圧力をかけるような説明や誘導は一切NGです。
✅ 方法は以下のいずれか(※労働者の希望があればFAX、メールもOK)
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面談(オンラインも可)
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書面交付
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FAX
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電子メール
👉 介護に直面した従業員へのサポート体制の整備が、会社の信頼にもつながります。
2)40歳になった従業員には、介護制度の「情報提供」が義務に!
介護は突然始まるもの。
でもその前から「備えられる環境」をつくることが、今回の改正のポイントです。
✅ 情報提供の対象とタイミング
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労働者が40歳に達する日の属する年度(誕生日前日~年度末)
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または、40歳の誕生日から1年間
✅ 提供すべき内容
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介護休業制度や介護両立支援制度の内容
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制度の申出先(人事部など)
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雇用保険による介護休業給付金の説明
✅ 提供の方法(個別でも集合形式でもOK)
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面談(オンラインも可)
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書面交付
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FAX
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電子メール
👉 介護制度の知識は、“その時”が来てからでは遅い。
40歳というタイミングは、まさに備えを始めるきっかけとして最適です。
📖参考様式
・(介護休業等)個別周知・意向確認書、40歳情報提供記載例(Word)
・(介護休業等)事例紹介、制度・方針周知ポスター例 (Word)
💡まとめ
これまで「育児中心」だった両立支援が、今回の法改正で**「介護」もしっかり対象に。
事業主には、従業員のライフステージを支える制度整備と情報提供が求められます。
🌱介護と仕事の両立は、企業の未来を支えるテーマでもあります。
制度対応の準備、始めていきましょう!
このコラムを書いている人

玉城 翼(たまき つばさ)
社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士
1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。
2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。
▶コラム: 私が社労士になった理由