こんにちは。
沖縄の社会保険労務士・玉城です。
毎年春になると厚生労働省が行う「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーン(令和7年4月1日~7月31日)が今年も始まりました。実は私、ハローワーク勤務時代にこの広報に関わった方と一緒に仕事をしたことがあり、大学などでこの資料を活用してセミナーを行った経験もあります。
「学生アルバイト向けの施策でしょ?」と思われるかもしれませんが、今の若者はネットやSNSを通じて、驚くほど労働関係の情報を正しく知っています。
だからこそ企業として、採用や労務管理の“基本”を見直す必要があります。
◆ 若者の「情報収集力」は高い
今どきの学生は、困ったときに検索する力があります。
「バイト シフト 勝手に消された」「給料 天引き 違法」など、ピンポイントで正しい情報にたどり着きます。
彼らは、自分の労働条件に違和感を持ったら、労働基準監督署や若者向け相談窓口に相談することもあります。
つまり、「若いから知らないだろう」は、もう通用しない時代。
逆に企業の方が“知らなかった”では済まされないケースもあるのです。
◆ 厚労省が企業に向けて発信する「5つのポイント」
令和7年度のキャンペーンでは、特に以下の点について企業に注意喚起がされています。
① 労働条件の書面による明示
雇用契約時には、労働条件を書面で交付する義務があります(労働基準法第15条)。
シフト制でも、賃金、労働時間、休日などをしっかり明記しましょう。
② シフトのルールを明確に
学生から多い不満が「思ってたよりシフトに入れない」「急に外された」。
あらかじめ決定方法や変更時の連絡ルールを示しておくことが重要です。
③ 労働時間・休憩の適正管理
「短時間だから曖昧でOK」はNG。
きちんと出勤退勤を記録し、6時間以上の勤務には休憩も忘れずに。
④ 商品や制服の強制購入は禁止
制服代などの“自腹購入”を求めたり、賃金から天引きするのは原則違法です。
⑤ 過剰なペナルティは禁止
「無断欠勤に罰金」「遅刻で減給」などは、法律上制限があります。
就業規則が未整備な場合は、見直しをおすすめします。
◆ 新卒採用でも同じ目線が求められる
この傾向はアルバイトに限りません。
今の新卒層も、内定前後で「労働条件通知書はあるか」「賃金体系はどうなっているか」などをしっかり確認しています。
透明性のある情報提供や、トラブルのない人事体制は採用力にも直結します。
◆ まとめ:トラブル予防は“気づいた今”からがチャンス
情報感度が高い若者たちとの信頼関係を築くには、企業側が先回りして整えておくことが一番の予防策です。
アルバイト採用や新卒対応の場面で、知らずにトラブルを起こしてしまう前に、今一度、社内のルールや運用体制を見直してみてくださいね。
ご希望があれば、労務管理の見直しや資料作成もサポートしています。
お気軽にご相談ください!
このコラムを書いている人

玉城 翼(たまき つばさ)
社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士
1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。
2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。
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