
こんにちは。
沖縄の社会保険労務士、つばさ社会保険労務士事務所・代表の玉城 翼(たまき つばさ)です。
近年、猛暑による熱中症のリスクが深刻化しています。とくに沖縄では夏場の高温・多湿により、屋外・屋内問わず、労働者が熱中症になるリスクは年々高まっています。
そこで2025年6月1日から、労働安全衛生規則が改正され、熱中症対策が全ての事業者に義務付けられることになりました。
■ 義務化の背景とは?
熱中症による重篤な災害や死亡事故の増加を防ぐため、厚生労働省は新たに「報告体制」「実施手順」「作業者への周知」の3つを事業者に義務づけます。
これに違反した場合には、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります(労働安全衛生法第119条)。
■ 対象となる事業者は?
労働者を雇用しているすべての事業者が対象です。
特に次のような作業を行う職場では、義務対象となる可能性が高いです:
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WBGT※が28度以上または気温が31度以上の環境下で、
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1時間以上連続して作業する場合、
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1日4時間以上の作業が見込まれる場合
※WBGT(湿球黒球温度):気温・湿度・輻射熱を考慮した暑さ指数。
■ 事業者が対応すべき3つの義務(ポイント)
① 報告体制の整備
熱中症が疑われる労働者を見つけたとき、すぐに報告できる体制を作り、全員に周知しておく必要があります。
具体例:
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担当者の氏名・連絡先を掲示
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「発見者→熱中症担当者→救急対応」という報告フローを作成
② 実施手順の作成
もし熱中症が発生したときに備え、緊急対応マニュアルを作成しておきます。
含めるべき内容:
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作業の中断・涼しい場所への移動・身体冷却の方法
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近隣の救急病院の情報
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搬送や119番通報の判断基準
③ 関係者への周知
作成した体制・手順を全従業員にしっかり伝えることが義務です。
例:
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朝礼やミーティングでの説明
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事務所や休憩所への「張り紙」掲示

▲農林水産省作成 「熱中症」対応フロー例
■ 沖縄の企業・農業法人がとるべき対応とは?
沖縄の事業者は、屋外作業や冷房のない場所での作業が多いため、特に注意が必要です。
まずは以下の3ステップをおすすめします:
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WBGT計を導入し、自社の作業環境のリスクを見える化する
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張り紙(ポスター)を活用し、従業員の意識を高める
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「誰が・いつ・どう動くか」をフローチャートで可視化
■ まとめ:熱中症対策は「命を守る労務管理」
この義務化は、単なる法令対応ではありません。
働く人の命を守るための重要な安全対策です。
対応を怠れば、企業の信用にも関わります。
今のうちから準備を進めて、万が一の事態に備えましょう。
【参考資料】
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厚生労働省「労働政策審議会 安全衛生分科会」資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/newpage_00043.html
必要であれば、社内研修やマニュアル整備のサポートも可能です。
お気軽に「つばさ社会保険労務士事務所」までご相談ください!
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このコラムを書いている人

玉城 翼(たまき つばさ)
社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士
1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。
2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。
▶コラム: 私が社労士になった理由