こんにちは。
つばさ社会保険労務士事務所の玉城です。沖縄で企業の労務サポートや採用支援を行う社労士として、地元の雇用状況をわかりやすくお伝えすることを大切にしています。
今回は、2025年2月時点の沖縄県の雇用情勢について、厚生労働省沖縄労働局の発表と報道内容をもとに、企業の皆さまに役立つ形でまとめました。
有効求人倍率は1.08倍 ― 4か月連続で減少
2025年2月の沖縄県の有効求人倍率(季節調整値)は1.08倍で、前月から0.01ポイントの低下。これで4か月連続の減少となりました。
つまり、求職者1人あたり1.08件の求人がある状況ですが、求人数も求職者数も少しずつ減少しています。
沖縄労働局は、企業による「求人条件や処遇改善」が進み、離職者が減っていることが要因と分析しています。
求職者にも変化 ―「よりよい条件を求める転職」も増加中
一方で、興味深い動きもあります。
現在就業中の人(在職者)で新たに職を探す人の割合が前年比で2.3%増加しているというのです。
これは、「よりよい条件を求めて転職を検討する人が増えている」ことを示しており、企業としては“選ばれる職場づくり”がより重要になっているといえるでしょう。
正社員求人は依然として厳しい ― 倍率は0.71倍
2025年2月時点の正社員有効求人倍率は0.71倍と、求職者に対して正社員求人が依然として少ない状況が続いています。
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正社員有効求人数:12,645人(前年同月比▲5.3%)
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新規正社員求人の割合:37.1%(前年より+3.3pt)
正社員求人の割合自体は上昇傾向にあるものの、求職者数に追いついていないのが現状です。
業種別の求人動向 ― 医療・福祉は堅調、観光・娯楽関連は大幅減
求人数が増加した業種:
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医療・福祉:+7.2%
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その他サービス業:+4.7%
求人数が減少した業種:
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娯楽業:▲39.1%
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情報通信業:▲33.2%
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生活関連サービス業:▲19.0%
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建設業・製造業も2ケタ減少
とくに観光業と関連する業種での求人減少が目立ち、物価高や人件費の上昇の影響が懸念される状況です。
【企業向けアドバイス】採用成功のカギは「条件見直し」と「職場の見える化」
求人を出してもなかなか人が集まらない…。そんな声を多くの事業所から聞きます。
今後、企業がとるべき対策としては、以下のような工夫が求められます。
1. 求人票の見直し
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初任給だけでなく「昇給あり」「賞与実績あり」などの情報を具体的に
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週休二日制・年間休日数など、働きやすさを数値で明記
2. 社内制度の整備
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有給休暇の取得促進
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子育て・介護と両立できる制度の導入(※新設された「出生後休業支援給付金」なども活用可)
3. 企業の魅力を「見える化」
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SNSやホームページ、求人票で「社風」や「働く人の声」を発信
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職場見学の受け入れ、企業説明会の参加も効果的
【今後の見通し】物価上昇が雇用に与える影響に注意
沖縄労働局は、物価上昇などの経済変動が今後の雇用に与える影響に注視する必要があるとしています。
賃金や待遇の水準といった“見えにくい要因”が離職や転職の動機になりやすい時代です。
まとめ
沖縄の雇用情勢は「求人も求職も落ち着きつつある」一方で、「働く側の目線」はより厳しくなっています。
企業にとっては、
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採用活動の工夫
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処遇の改善
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職場の魅力発信
これらが採用・定着のカギです。
つばさ社会保険労務士事務所では、労務・採用・制度設計のトータルサポートを行っています。
地域密着で、沖縄の企業をしっかり支える社労士として、これからも情報発信を続けていきます!
このコラムを書いている人

玉城 翼(たまき つばさ)
社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士
1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。
2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。
▶コラム: 私が社労士になった理由