· 

週休3日制の正社員にも全額役職手当は必要?働き方の多様化と“気持ち”に寄り添う制度設計を

こんにちは、沖縄の社労士の玉城です。

最近、沖縄でも「週休3日制」や「時短正社員」など、新しい働き方を導入する企業が増えてきました。働く側にとっても、企業側にとっても柔軟な働き方ができるのはとても良いことですね。

でも、人事・総務担当者としては、こんな疑問を持つことはないでしょうか?

「週休3日制の管理職にも、フルタイムと同じ役職手当を払わないとダメ?」

今日はそんな疑問にお答えしつつ、制度設計において大切な「法令」と「気持ち」のバランスについて考えてみたいと思います。

 

短時間労働者の役職手当はどうあるべき?

「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針(厚生労働省告示第430号)」では、役職手当に関して次のように述べられています。

 

つまり、週40時間の正社員が役職手当を5万円もらっている場合、週20時間の社員には2万5千円など所定労働時間に比例した支給は「OK」ということになります。

 

でも、役職の“重さ”は同じじゃない?

とはいえ、現場の責任感って、時間では測れないことも多いですよね。

例えば「週3日勤務の管理職」でも、部下の相談に乗ったり、LINEやChatworkで常に状況を見ていたり。勤務日が少ない分、密度濃く動いてくれる人も多いです。

役職の“肩書”は同じでも、責任の重さに変わりはない。

それなら、労働時間に応じて役職手当を削るよりも、あえてフルタイムと同じ手当を支給するという選択肢もあります。

人事制度や手当は、法令を守ることが前提ですが、それ以上に「従業員がどう受け止めるか」が大切です。

短時間勤務であっても責任を担っている人に「役職手当が少ない」という印象を与えてしまうと、モチベーションの低下離職リスクにもつながりかねません。

  

沖縄の企業こそ、「人に寄り添う制度設計」を

沖縄は「人とのつながり」を大事にする文化が根付いています。だからこそ、制度設計も「人に寄り添ったもの」であってほしいと思います。

もちろん、財務的な限界もあるかもしれません。ですが、「どうすれば公平に、かつ従業員のやる気を引き出せるか」を対話を通じて探ることが、これからの人事に求められる姿勢ではないでしょうか。

 

まとめ|法令と“気持ち”のバランスを大切に

  •  週休3日や短時間勤務の正社員が増えている今、役職手当の取り扱いは悩みどころ。
  • 法令上、所定労働時間に応じた支給は認められている。

  • でも、職責が変わらないのであれば、あえてフル支給することが「気持ち」に寄り添う対応になることも。

  • 制度は「守るもの」であると同時に、「人を活かすもの」であってほしい。


このコラムを書いている人

玉城翼の写真

玉城 翼(たまき つばさ)

社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士

1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。

2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。

▶コラム: 私が社労士になった理由