【採用難の突破口に】スキマバイト専門店という選択肢──SUBWAYの実験から学ぶ沖縄企業の人材戦略

「求人を出しても応募がない」「雇ってもすぐ辞めてしまう」
そんな悩みを抱える沖縄の事業主・人事担当者の皆様へ、新しいヒントになるかもしれない事例をご紹介します。

🥪 スキマバイトだけの「SUBWAY」

全国で店舗展開するSUBWAYが、最近オープンさせたのは「全員がスポットワーカー」というユニークな店舗。

これは長期雇用ではなく、「数時間だけ」「空いている日だけ」働く人だけで回しているお店です。
背景には、深刻な人手不足と離職率の高さがあります。

 

📉 沖縄の現状:人手不足は“構造的”な問題に

沖縄でも、人手不足は今や一時的な問題ではありません。
以下のような構造変化が進んでいます(※出典:りゅうぎん総合研究所『沖縄県の労働市場の構造変化と今後の課題と展望』2024年12月)👇

  • 求人数は増えているのに、求職者数が減少

  • 求人倍率は上昇し、完全な“売り手市場”に

  • 欠員率も上昇し、必要な人材が確保できない

  • 高齢者や女性の就労は進むが、それだけでは追いつかない

さらに、ミスマッチによる構造的失業が依然として残っており、「働きたい人」と「企業のニーズ」がかみ合わない状況が続いています。

 

💡 スキマバイトは万能ではないが“ヒント”にはなる

SUBWAYの取り組みは、すぐにすべての企業が真似できるものではありません。
しかし、次のような視点は沖縄の中小企業にも応用可能です。

✅ 応用できる視点

  • 定時シフトにこだわらない:1日2時間だけでもOKな枠を用意する

  • 副業・兼業人材の受け入れ:副業可能なポジションをつくる

  • 「曜日・時間固定なし」でも回せる業務を洗い出す

👥 採用を「広げる」だけでなく「分解する」発想を

  • 「正社員が取れない」→「パートでもいいかも」

  • 「パートも来ない」→「短時間、単発も検討してみよう」

そうした雇用の柔軟性を企業側が持つことが、人材確保の第一歩です。
特に飲食・小売・福祉などシフト勤務が前提の業種では、“スキマ戦略”はヒントになります。

 

🧭 社労士視点から見た注意点

  • 労働条件通知書はスポット勤務でも必須

  • 労災保険・雇用保険の適用要件をよく確認

  • 就業ルールの簡易マニュアルを整備しておくと安心

✨ まとめ:人がいない時代、採用の“前提”を疑う

これからの採用は、「どうやって人を確保するか?」以上に、
どうやって“働きやすい環境”をつくるか?」が問われます。

 

SUBWAYのような極端なモデルでなくとも、
スキマ時間でも活躍できる人材に目を向けることは、沖縄の企業にとっても現実的な選択肢のひとつです。


このコラムを書いている人

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玉城 翼(たまき つばさ)

社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士

1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。

2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。

▶コラム: 私が社労士になった理由