
~離職率の高さと定着のための工夫とは?~
こんにちは。沖縄の社会保険労務士・玉城翼です。
私は以前、ハローワークで高卒求人票の作成に携わっており、地元企業の皆さまと直接やり取りを重ねてきました。現場で「どうすれば若い人が来てくれるのか」「入ってもすぐに辞めてしまう」といった切実な声を何度も伺ってきました。
今回は、そうした経験と最新のデータをもとに、
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高卒採用ならではの“ルール”
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沖縄特有の「高い離職率」という課題
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企業ができる“定着のための工夫”
この3つのポイントについて、わかりやすくお伝えします。
✅ 前提:高卒採用には「学校ルート」の特有ルールがある
高卒求人は、大学生のように自由に求人サイトへ出すわけにはいきません。主に学校を通じて就職する“学校斡旋型”となり、いくつか独自のルールが存在します。
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求人提出は 毎年6月以降
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採用選考は 9月16日以降スタート(年によって変更あり)
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一人一社制(最初は1社にしか応募できない)
このため、求人票の内容や説明会での印象がとても大事です。
ハローワークで企業と一緒に求人票を作成していたときも、「文字数が限られている中で、どう伝えるか」に悩む事業主が多くいらっしゃいました。
✅ 沖縄の高卒就職者、実は“半数以上が3年以内に辞めている”
まず驚くべきは、沖縄の高卒就職者の3年以内離職率が51.2%にも及ぶという事実です。これは全国平均の38.4%を大きく上回る数値で【8】、約2人に1人が辞めてしまっていることになります。
具体的には…
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1年目で24.4%が離職
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2年目で17.6%
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3年目で8.4%
企業側も「せっかく育てようと採用したのに、続かない」という声が絶えません。
✅ 離職を防ぐには? ― 現場で見えてきた“定着の工夫”3選
現場で企業の声を聞いてきたからこそわかる、離職防止のための3つの視点をご紹介します。
① 「入社前のギャップ」を減らす情報提供
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仕事内容を“ありのまま”伝える(良い面だけでなく大変なことも)
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職場見学やインターンの機会をつくる
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若手社員の声や1日のスケジュールなどを見せる
高校生は社会経験が少なく、リアリティショック(「思っていたのと違う…」)が起きやすいです。だからこそ、事前にしっかり伝えることが大切です。
② 「安心して聞ける・相談できる」環境を整える
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先輩社員との定期的な1on1面談
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メンター制度の導入(歳の近い先輩が伴走)
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朝礼や雑談の場でのコミュニケーション促進
若手の離職理由の上位には「人間関係」「相談できない」が挙げられます。“心理的安全性”のある職場づくりが、結果として定着につながります。
③ 「成長の見える化」とキャリアの見通しを示す
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スキルアップ研修の導入
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資格取得支援制度の整備
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昇給・昇格の基準をわかりやすく示す
特に最近の若年層は、「この仕事を続けて自分はどうなれるのか?」をとても気にします。キャリアの“安全性”が見える職場は、それだけで魅力的に映ります。
✅ まとめ|高卒採用は“育てる前提”の仕組みづくりから
沖縄では採用難が続き、特に若年層の人材確保が課題になっています。
高卒採用はその一手となり得ますが、「採っただけ」で終わらせず、“定着する仕組み”を持つ企業こそが選ばれる時代です。
私自身、ハローワークの現場で多くの企業と向き合ってきたからこそ、皆さまの悩みに寄り添いながら支援ができます。
💡つばさ社会保険労務士事務所では…
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高卒求人票の作成支援(表現の工夫や強みの見せ方)
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離職防止プランの設計(フォロー体制づくり・社員教育)
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若手定着に向けた就業規則や評価制度の見直し
などを、沖縄県内の中小企業向けにご提案しています。
このコラムを書いている人

玉城 翼(たまき つばさ)
社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士
1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。
2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。
▶コラム: 私が社労士になった理由