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【2025年制度見直し】時間単位年休とは?上限緩和の動きと導入ポイントを解説

こんにちは、沖縄の社会保険労務士・玉城翼です。
今回は、「時間単位の年次有給休暇(時間単位年休)」について、2025年度中にも見直しが予定されている制度上限の緩和に関する動きと、導入のポイントをわかりやすくお伝えします。

 

時間単位年休って何?

通常、年次有給休暇(有休)は「日単位」で取得するものですが、2010年の法改正により、年5日を上限に「時間単位」での取得も可能になりました。
たとえば、「子どもの学校行事に2時間だけ抜けたい」「通院で午前中だけ休みたい」といったケースに活用されている制度です。

 

2025年度中に「5日上限」見直しの可能性

現行制度では、時間単位で取得できる年休は年間5日以内と制限されています。しかしこの上限が、年次有給休暇の付与日数の50%程度まで緩和される方向で議論が進んでいます。

例えば、有休付与日数が年間20日の社員であれば、最大10日分を時間単位で取得可能になる可能性があるということです。

 

背景には「柔軟な働き方」ニーズの高まり

通院・育児・介護など、1日丸ごとの休暇では対応が難しい場面が増える中で、「もっと柔軟に有休を使いたい」という声が高まっています。
こうした現場の実情に応える形で、政府も見直しの検討に踏み切ったというわけです。

 

時間単位の有給休暇、上限を「5日以内」から「全体の50%」に緩和…規制改革会議が中間答申へ(読売新聞)

 

時間単位年休を導入するには?(手続きの流れ)

時間単位年休を導入するには、以下の手続きが必要です:

1. 労使協定の締結(書面)

まず、労働者の過半数代表者(または労働組合)と書面で協定を結ぶ必要があります。

労使協定には、以下の項目を明記します:

 

・対象者(原則、全労働者)

・年間上限(現行は5日以内)

・1日分の年休=何時間か(例:所定労働時間7時間30分→8時間)

・最小単位(原則1時間単位)

※目的によって対象者を絞る(例:「育児中の社員に限る」など)はNGです。

 

2. 就業規則への記載

就業規則がある場合は、時間単位年休に関する条文の追加が必要です。
厚生労働省のモデル就業規則を参考にしましょう。

例:第〇条 労働者は、年5日を上限として、1時間単位で年次有給休暇を取得できる。

 

3. 有休管理簿での管理

2019年から義務化された「年次有給休暇管理簿」に加え、時間単位の取得状況も正確に記録しておく必要があります。

「いつの間にか上限を超えていた…」とならないよう、システム管理や運用ルールの整備が重要です。

 

まとめ:2025年は「有休の柔軟運用元年」になるかも?

年次有給休暇の取得率は2023年に過去最高の65.3%を記録。政府は2028年までに70%達成を目標に掲げています。

この流れの中で、時間単位年休の上限緩和は、企業の働き方改革にも大きな追い風となるでしょう。

 

▼人事労務担当者へのワンポイントアドバイス

 

  • 時間単位年休の導入は「福利厚生の充実」「離職率の低下」にもつながります。

  • 助成金(働き方改革推進支援助成金)の活用も視野に入れましょう。

  • 勤怠システムの導入により管理の負担を大幅に軽減できます。


このコラムを書いている人

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玉城 翼(たまき つばさ)

社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士

1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。

2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。

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