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沖縄の「第三次産業」で労働災害が増加中?―現場で今、何が起きているのか

こんにちは、つばさ社会保険労務士事務所の玉城翼です。

今回は、沖縄県内で増加している「第三次産業における労働災害」について、最近の統計データや現場の傾向をもとに解説します。

 

🌺 沖縄は「第三次産業」が中心の地域

沖縄の経済構造をみると、観光業をはじめとするサービス業が大きな比率を占めています。
県内総生産における製造業の割合はわずか4.3%にとどまり、圧倒的に第三次産業に依存しているのが特徴です。

観光、飲食、小売、介護など人と接する業種が多く、「人手不足」と「高齢化」が進む中で、現場では日々多くの労働災害が発生しています

 

📊 実際に災害件数はどうなっている?

沖縄労働局の2025年3月末時点のデータによると、全産業の労働災害のうち半数以上が第三次産業(運輸を除く)で発生しています。前年と比較しても微増傾向にあり、沖縄における第三次産業の災害リスクは引き続き高い状況といえます。

▲令和7年 業種別署別労働災害発生状況(3月末累計)沖縄労働局

 

⚠ 第三次産業の労災はなぜ多い?

厚生労働省の資料によれば、第三次産業では「転倒」や「腰痛」など、日常動作に近い形で災害が起こることが多いとされています。

 

🔸 小売業

  • 事故の半数は「転倒」や「腰痛」

  • 高齢者や未熟練者の就業率が高い

  • パート・アルバイト中心で教育が不十分なケースも

🔸 飲食業

  • 「転倒」「切れ・こすれ」「火傷」が主要原因

  • 狭い厨房・滑りやすい床・刃物の取り扱いが課題

🔸 社会福祉施設

  • 「腰痛」「転倒」が多数

  • 入居者介助時の無理な姿勢、床の水濡れなどがリスク

 ▲第三次産業の災害の特徴(厚生労働省)

 

🔧 中小企業でもできる“予防策”

労災を防ぐためには、「教育・環境・体制」の3つの視点から対策が必要です。

✅ 教育

  • 入職時だけでなく、定期的な安全衛生教育を

  • ヒヤリハット報告の仕組みづくり

✅ 環境

  • 滑り止めマットの設置や床材の見直し

  • 荷物の重量や作業姿勢に配慮した備品の選定

✅ 体制

  • 10人以上の事業所では「安全推進者」の選任を

  • PDCAに基づく安全管理体制の構築

📣 沖縄の事業者の皆さまへ

労災は、従業員にとっても事業者にとっても大きな損失です。
とくに第三次産業が基幹となる沖縄では、「労働災害を減らすことが地域の持続的発展につながる」といっても過言ではありません。

当事務所では、職場の労災予防や安全衛生活動の構築支援も行っています。気になることがあればお気軽にご相談ください。

 

✍ 最後に:まとめ

 

  • 沖縄では第三次産業が主力で、労働災害も集中

  • 特に「転倒」や「腰痛」など、日常的な災害が中心

  • 教育・環境整備・体制構築で予防可能

  • 小規模事業所でもできることから始めよう


このコラムを書いている人

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玉城 翼(たまき つばさ)

社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士

1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。

2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。

▶コラム: 私が社労士になった理由