
「就職氷河期世代」という言葉をご存知でしょうか?
バブル崩壊後の1993年~2004年に就職活動期を迎えた世代を指します。
現在40代後半~50代前半となった彼らは、キャリア形成が難しい時期に社会へ出たため、
いまもなお、不安定な雇用や低賃金・低資産といった課題を抱えています。
政府はこの就職氷河期世代への支援を、2025年度から新たな段階へ移行します。
今回は、政府方針と沖縄県の最新雇用情勢を踏まえ、
中小企業が知っておくべきポイントをわかりやすくまとめました!
📌国の支援は「中高年層全体施策」に統合へ
これまでの「氷河期世代限定支援」から、 2025年度以降は、中高年層全体(概ね35歳以上)への支援に統合されます。
主な支援メニュー
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就労・処遇改善支援
リスキリング支援、正規転換促進、キャリア相談体制の強化 -
社会参加支援
ひきこもり支援、段階的な就労機会の提供 -
高齢期を見据えた支援
65歳以降の就業確保、住宅支援、家計支援
これにより、就職氷河期世代を含めた中高年層全体を切れ目なくサポートする体制が整えられます。
▲2024年度までの主な取組及び2025年度の取組方針(内閣官房就職氷河期世代支援推進室)
🌺沖縄県の雇用情勢 ― 回復傾向続くも課題あり
沖縄県の最新の雇用状況は以下のとおりです。
指標 | 数値 | データ時点 |
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完全失業率(沖縄県) | 2.8%(前年同月比 ▲0.1ポイント) | 令和6年12月 |
有効求人倍率(沖縄県・季節調整値) | 1.08倍(前月より▲0.01ポイント) | 令和7年2月 |
正社員有効求人倍率(沖縄県・原数値) | 0.71倍(前年同月比▲0.02ポイント) | 令和7年2月 |
✅ 完全失業率(令和6年12月時点)は2.8%と改善し、全国との差も縮小傾向
✅ 有効求人倍率(令和7年2月時点)は1.08倍と堅調な水準を維持
✅ 正社員有効求人倍率(令和7年2月時点)は0.71倍で推移し、引き続き正規雇用促進が求められる状況
一方で、
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若年層(15~29歳)の失業率が全国平均より高い
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非正規雇用割合が全国平均(37.0%)より高い(沖縄県40.2%)
など、「人材定着」「キャリア支援」の必要性が引き続き指摘されています。
🏢沖縄の中小企業への影響とチャンス
沖縄の中小企業にとって、就職氷河期世代や中高年層の活躍推進は、 人材不足解消の大きなカギとなります。
期待される影響
✅ ミドル世代(40代~50代)の人材確保チャンス拡大
✅ 正規雇用促進に向けた国の助成金活用(キャリアアップ助成金など)
✅ リスキリング支援を活用した即戦力化
注意すべきポイント
⚡ 離職リスク(早期離職対策として、面談・定着支援が必須)
⚡ 非正規雇用が多い沖縄特有のキャリア支援不足リスク
特に、「再チャレンジできる受け皿づくり」や、「年齢にとらわれない評価制度」が、今後ますます求められるでしょう。
🔮今後の展望 ~求められる企業の取り組み~
政府の支援策が広がる中、沖縄の中小企業に求められるのは、
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リスキリング機会の提供
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ミドル世代が活躍できるキャリアパスの設計
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介護・育児との両立を支える柔軟な働き方制度
など、年齢や属性にかかわらず「活躍できる職場づくり」です。
沖縄県独自の支援策(県のリスキリング補助金、若者・ミドル支援施策)も活用しながら、
今いる人材を活かす組織づくりを今から進めていきましょう!
✨まとめ
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就職氷河期世代支援は2025年度から「中高年層支援」に統合
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沖縄は雇用回復傾向だが、若年失業率や非正規割合が依然課題
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企業にとっては40代~50代人材を活かす絶好の機会!
若手だけではなく、ミドル世代にもチャンスを広げる――
そんな企業が、これからの沖縄で選ばれていく時代が来ています。
このコラムを書いている人

玉城 翼(たまき つばさ)
社会保険労務士/1級FP技能士/キャリアコンサルタント/宅地建物取引士
1982年沖縄県宜野湾市出身。大学時代より地域貢献に関心を持ち、卒業後は販売・イベント・不動産業務など多分野を経験。その後、労務管理やキャリア支援に従事し、実務を通じて社会保険労務士を志す。
2021年より総務部門を統括し、給与計算・労務管理・制度改定・電子申請導入など業務改善を推進。社労士試験に一発合格し、2025年「つばさ社会保険労務士事務所」設立。地域の中小企業を支えるパートナーとして活動中。
▶コラム: 私が社労士になった理由